押角駅は岩泉線の駅の中で最も秘境ムードに溢れた駅です。構内は1面1線の棒線駅なのですが、かつてはスイッチバック駅となっていて、木材の積み出しなど貨物取り扱いもしていたとのことです。
駅の周辺は落葉樹の雑木林と沢が流れているだけで、ほとんど民家らしいものは見あたりません。こんなところに駅の存在価値があるのだろうかと思いますが、駅の価値はともかく、このあたりの交通事情が岩泉線が現在まで生き残っている原因の一つとなっています。
岩泉線と併走する道路は、押角駅の付近までは、改良されているものの、ここから先の改良工事が未了のため、交通手段の確保のために岩泉線が存続しているからです。
道路の改良が進めば岩泉線が廃止される可能性は極めて高いのが常識的な判断ではないかと思われます。
同じような例でJR西日本の木次線出雲横田~備後落合間があります。こちらのほうは、盲腸線ではないこと、国道314号線がループ橋を建設するなどして整備が完了したものの、そのループ橋を木次線の車窓からトロッコ列車で見学するという、道路整備の完了を逆手にとった乗客誘致の努力をしたことから、現在のところ廃止を免れているようです。
岩泉線も、道路整備後も乗客誘致の方策があるのか、そこのところは未知数ですが、赤字の一部を補填することとなるであろう地方自治体の財政はどこでも厳しいこと、JRの利益重視の会社経営(上場企業としては当然のことですが)からすると、相当の努力が必要と思います。
写真の駅名標は、かなり錆びた国鉄型で秘境駅らしい郷愁がありますが、現在は新しいJRタイプに取り替えられているようです。
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